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早いもので研究の世界に飛び込んで、論文を書き始めて8年目です。

研究者としてはまだまだペーペーですが、論文執筆にも慣れてきたところです。

ところで突然ですが、この世には読んでいて意味不明な論文が多すぎると思いませんか?

自分の論文のことは棚に上げますが、特別難しいことをやっているわけではないのに「書き方」のせいで読みにくくなっている論文がたくさんあります。

その原因は何だろう、どうすれば伝わりやすい文章を(英語で)書けるのだろうか。

そんなことを考えていたところ、nori-lan様専用なるものが最近ちょうど職場で開催されていたのでアウトプットの質を上げるべく受講してきました。

備忘録として普段から私が執筆の際に意識していること+そのコースから学んだことを整理したいと思います。

今回は第一弾で、効率よく良い文章を書くための戦略を。

次回は完結でわかりやすい英文を書くためのポイントをまとめます。

もちろんこれが正解と言うつもりは毛頭ありませんし、私が特別書くのが上手というわけでもないので参考程度に読んでください。

論文執筆の3ステップ

ノースフェイス ファイヤーフライ エプロン最大のコツは「いきなり書かない」ことだと思います。

論文を書きはじめの頃は「よし今から名文を書くぞー」と意気込んで机に向かうものの、

  • 一文書いては消して
  • 思考が拡散して調べものをして気付いたら時間がたって

を繰り返して数時間経っても数センテンスしか進んでいないことがよくありました。

インプットが完了していない、書く内容が整理されていないのに書き始めようとするのが原因ですね。

まさに以下のnoteに書かれているような状況です。

あなたはとりあえず、ご飯と卵とハムを目の前にして「チャーハン」をつくろうとしています。でも「なにか物足りないかもなあ」と思い、「そういえば、このあいだ買ったキムチがあるから入れてみようかしら」と考え始めます。

そうこうしているうちに「ほんとうにチャーハンでいいのだろうか? この材料ならハムをやめて、キムチ雑炊にしようかしら」みたいなことも思い始めたりします。

使える材料はいろいろ思い浮かぶ。しかも最終的に仕上げる料理もなんだっていい。するとだんだん頭が混乱してきて、最後まで仕上げる気力がなくなっていくのです。

引用元:エルメス カレ90 シルクスカーフ 鍵

ちなみにこの方の文章術に関する本、めちゃくちゃ面白かったです。

ではどうすればこの問題を解決できるのか。

私のやり方は次の通り。

  1. 論文の執筆をまず3ステップにわける
  2. そして各段階でPDCAサイクルを素早く何回も回す

これは今回新たに習ったわけではなく普段から私が論文執筆のときに意識していることですし、多分文章書くのを仕事にしている人の多くが実践していると思います。

ライティングのスピードと質が分かりやすく向上します。 

論文執筆の3ステップとは

  1. 論文全体の構造・ロジックの流れを決める
  2. パラグラフを書く
  3. センテンスレベルで文章を洗練させる

です。

先ほどのキムチチャーハンの例があまりにしっくりきたので料理に例えると

  1. 材料を冷蔵庫から出して並べておく
  2. 調理の順番を考えて実践する
  3. 美味しく見えるように盛り付ける

って感じでしょうか。

 

最初の1-2ステップについては学ぶ機会や詳しく説明している資料が多いと思うので簡単に。

今回私が受講したコースは3ステップ目がメインだったので次回詳しくまとめます。

ステップ1:構造・ロジックを決める

分野によって論文執筆の形式やお作法が異なります。

今回は医学系論文についてまとめます。

基本的にはIMRAD方式と呼ばれる構造で論文を書いていきます。

  1. KORG Volca Kick
  2. Methods
  3. Results
  4. Discussion (& Conclusion)

の順に文章を書いていくやつです。

その論文で

  1. なにを見るのか、なぜ見る必要があるのか
  2. どうやってみたのか
  3. みた結果どうだったのか
  4. その意味合いはなんだったのか

についてまとめるんですね。

これはもう基本中の基本なので詳しくは説明しません。

IMRADの各セクションがそれぞれどういう機能をもつセクションなのか、を意識すれば最低限こういうことは書かなきゃなというのが見えてきます

例えばMethodsは研究の手法の妥当性を読者が評価でき、必要あれば分析結果の再現までできるように書くのが理想的とされています。

まあ諸々のお作法・記載内容についてはSTROBEとかを読むと良いのだと思います。

日本語版STROBEはこちら

この段階で意識すべきことは、とにかく「何を言いたいのか」を整理することです。

文章の細かい肉付けなどは二の次です。

言いたいこと(argument)がはっきりすれば、それを主張するためにどのようなロジックをつくっていけばよいのかを考えます。

箇条書きでロジックを整理していくのですが、とにかくこの作業に時間をかけます。

材料( 文章にいれるべき論点)を全部まな板の上にのせて、もうあとで冷蔵庫を開けなくて良いって状態にしてから実際の調理開始(パラグラフ作り)です。

こうすることでキムチチャーハンを作っている途中に別の材料に気付いて調理方針が変わる、なんてことを未然に防ぎます。

Introductionを例に

IMRADのなかで私が個人的に最も重要だと思うのはIntroductionです。

その役割は「なぜその研究をする必要があるのか?なぜ重要なのか?」

を説明すること。

新規性をしっかりアピールできる場所でもあります。

これらIntroductionの役割をきちんと理解することが良い文章につながると思います。

「あなたがこの論文を読むべき3つの理由」

みたいにその論文の意義を読者に説得する場所なので、ここが上手く書けていないと読んですらもらえません

Introductionを例にどのように「構造・ロジック」を作っていくのかをみていきます。

Introductionの目的に沿って流れをつくっていくのがやりやすいです。

イントロの目的1:なぜ重要か?のアピール

「なぜ重要か?」については、Introductionの冒頭でそのトピックの重要性を示すような背景情報をいれることでアピール可能です。

「病気Aに対する治療法」の研究なら、

  • 病気Aがどれくらいの人が現在苦しんでいて
  • 過去10年間にどれくらい増えていて
  • どれくらいの人が亡くなっているのか

を書くことで「ほら治療法見つけないとやばいでしょ。だからこの論文読んで。」って説得するわけです。

これは次のパラグラフを作るステップでもっと細かくやっていく作業です。

イントロの目的2:なぜ必要か?のアピール・Knowledge Gapの特定

「なぜ必要か?」の説得はResarch gapをいかに綺麗に特定できるかにかかっています

これを「なぜ重要か?」を説明した後に書いていくのが一般的です。

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  • こんな視点が抜けていた
  • こんな手法的限界があった

という風に論をすすめることでギャップを明らかにします。

あくまでギャップの特定が目的なので、だらだらと先行研究の詳細をいれた説明など不要です。スマートキーケース オーダーページ

ギャップが本当にギャップであることをきちんと説明しないと論文の面白さが伝わりません。

よくあるダメなパターンは「AとBの関連は欧米で多く研究されてきたが、日本ではまだされていない」という主張。

「欧米で多く研究されていて、日本でされていないこと」がなぜギャップになるのかを説明しないとイマイチ歯切れが悪くなります。

「日本人では関連が異なる可能性がある。なぜなら1. 生物学的にXXな違いがあり、2. 文化的にYYな違いがあり〜」と説明することで、わざわざ日本人で研究をすることが新規性につながる理由がわかりますよね。

 この辺りの話題は以前も触れました。

ちなみに 「なぜ重要か?」「なぜ必要か?」の説明は当然オーバーラップすることもあります。例えば私は手法的な観点から先行研究の弱点(ギャップ)を見つけて、それを克服するような分析をする論文を好んで書いています。この時、そのギャップを克服することで得られるベネフィットが「推定の精度が少しよくなる」とか「バイアスの補正が少し強くなる」というのではあまり面白くありません。むしろ「従来の手法だとどんなインサイトが見逃されてきたのか」「新しい手法によってどのような新しい問いに答えて、新しいknowledgeが生まれるのか」といった点を強調するように意識しています。ギャップの特定と重要性のアピールを同時にするトリッキーなパターンです。

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ここまでで「我々はこんな重要な問題について、このようなknowledge gapがあることを特定した」ということを言えました。

あとは「我々がそのknowledge gapを埋めます」と高らかに宣言すればイントロ終わりです。

重要性はすでに説明済ですので、淡々と自分の研究がどのようにギャップをうめているのかを説明します。

例えば「日本人では効果が違うかもしれないのに検討されていない」がギャップなら「日本人のデータを使って〜」と最初に書くことでギャップを実際に埋めていることをアピールします。

とにかく「ギャップを埋めました!」っていうのを伝えるのが目的なので、それ以外の「本研究の詳細」は二の次です。

ステップ1終了時のイメージ図 

以上の三点をふまえてIntroductionの骨組みをつくっていきます。

いつも私はマークダウンを使って構造を決める作業を行います。

「日本人高齢者における疾患AとBの関連を検討する」

みたいな論文を想定します。

だいたいこんな感じのアウトラインができあがります(内容は適当です)。

ステップ2:パラグラフを書く

ステップ1で作った枠組みに肉付けをしてパラグラフを作っていきます。

ここでもまだ文章は書き始めず、骨組みをさらに細かくしていくイメージです。

パラグラフの書き方についてはすでに参考になる記事がいくつかあります。

基本的に各argumentに対してそれをサポートするような具体例や説明を追加することで文章に深みと説得力を出す作業です。

例えばこんな感じ。

具体的な理由を追加してだいぶ内容が定まってきました。

強調しておきたいのは、必ずこのような形式で書かないといけないわけではないということです。

これは「正解」の書き方でもなんでもなく、ひとつの具体例です。

例えば第一パラグラフの最後でBの話を導入するのではなく、独立したパラグラフにするのもあり。

例えば第二パラグラフは長くなりそうなので二つにわけるのもあり。

個人的には、

  • なぜこの研究が重要か?
  • ギャップの特定
  • 研究目的(ギャップ克服方法の宣言)

に1パラグラフずつあてて合計3パラグラフにするのが簡潔で好きですが、これは分野による温度差もありますし自由に変更可能です。

重要なのは第一ステップでargumentを決めてそれを並べる、第二ステップで各argumentを具体例などサポート情報で肉付けすることです。

ここまでで材料の用意と料理の「レシピ」が完成しました。

あとはレシピにそって調理するだけです。

つまり満を辞して書いていきます

書くべき内容はアウトラインにすべてありますので、心を無にして手を動かします。

コツは良い文章を書こうという意識を捨て去ること。

質よりスピード、とにかく手を動かして文章の体裁をなした最低限のセンテンスをつくっていきます。

時間制限を課して、「今日の○時までにここを書き終える」みたいにするのもよいかもしれないです。

ロジックはつくられているのでこれでも意外と読める文章になります。

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最後はセンテンスレベルで文章を改善していきます。

例えば次のようなことを考えます。

  • 余分な情報はないか
  • くどい言い回し・簡潔にできる表現はないか
  • 前後との繋がり、フローは自然か
  • 仙禽 クワガタ  2022 7月

などなどです。

例えば「先行研究の弱点」に対応するの次の文章を考えてください。

  1. Potential reverse cauation due to their use of cross-sectional data is one of the limitations of these studies.
  2. One of the limitations of these studies is potential reverse cauation due to their use of cross-sectional data.

どちらも「正しい」英文なのですが、英文の基本はコンテクスト→新情報の流れで書くと読みやすいことが知られています。

つまり、「これからlimitationの話をするよ」というコンテクストを与えたうえで、「reverse causationが云々」と具体的な新情報を書くわけです。

これが逆の順番だと「reverse causation」の話がいきなりでてきて、読者としては「ん?何の話?」となってしまいますよね。

このように英文内で単語の順番を入れ替えるだけで読みやすさが格段によくなることは少なくありません。

また文章をつなげる方法、punctuationを意識することで英文がクリアになることもあります。

そのほかにも英文を洗練させるプロセスで使える考え方やテクニックを教えてもらったので次回詳しく書きます。

こちらの記事を参考文献としておすすめされました。

 

まとめ

  • しっかり構成を練ってアウトラインを作る
  • それができたら補足情報を追加して一気に文章化する
  • その後は細かく英文のブラッシュアップをする

のプロセスを一つずつ進めていくことで効率よく良い文章がかけるかもというお話をしました。

それでは次回は英文をキレよくするためのコツとして学んだことをまとめます。

 

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